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Hiroki Uchida Design Lab

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1年以上
5月27日、オバマ大統領が広島を訪問した。現役のアメリカの大統領が、広島を訪問したのは戦後初めてという事で、大きなニュースになった。

Yahoo Japanが6月4日まで行っている調査がある。”オバマ大統領の広島訪問、評価する?”というアンケート。アメリカ時間5月28日の午後4時23分現在、69,149票中、”大いに評価する”が50,763票と、ダントツでトップ。

そうなんだ・・・


----子供ながらにずっと不思議だった----

”たくさん爆弾落とされて、最後に原爆落とされて、たくさん人が殺されたんでしょ? じゃあ、なんで敗戦したらすぐに、日本のみんなはアメリカを追いかけたり、アメリカンドリームだとかに憧れたり、アメリカの音楽聞いたりだとかできたの?アメリカの事大嫌いにならなかったの?”

学校や大人たちから聞くのは、”戦争は悪い事だから、もう2度としてはいけない” ばかり。僕の祖父母の世代はアメリカを憎んでいる人も少なくない、と聞いたことはある。色々と聞いた話や読んだ物から勝手に理解しているのは、本当は多くの日本国民は戦争なんかしたくなかったのに、それを言えば非国民と称され身に危険が及ぶので、万歳三唱し大切な子供まで国に差し出した。また、そうする事が栄誉だと思わざるをえなかった。戦死する事が名誉だと思わされていた、と。

4年前、日本へ帰った際に靖国神社の遊就館を訪れた(当時のブログ記事)。”戦争は悪い事だから、もう2度としてはいけない” という言葉では片づけられない物が、一枚のガラスの向こうに山の様に展示されていた。ただ日本を愛していたからなのか、それとも洗脳されていたからなのか。 では、敗戦し、戦争が終わってからはどうなのか?日本政府からの洗脳がとけ、アメリカ政府に洗脳された、という事なのか。

今でも全ては分からない。


---アメリカ---

2年前に亡くなったが、母方の祖母の妹が、戦前にアメリカ人と結婚してアメリカ西部に住んでいた。日本との戦争が始まると、日本人収容所へ入れられる事を避けるため、田舎にある旦那さんの実家で隠れる様に暮らしたと聞いた。皆、とても良くしてくれたと。

僕が中学時代から、既にアメリカに日本企業の駐在員として住んでいた母の再婚相手はベテラン(退役軍人)で、大佐としてベトナム戦争へ行った。国の為に尽くした彼は、生涯医療費は無料で(病院は特定される)、今でも国から毎月手当も出ている。配偶者も医療費は全て無料なので、母がちょっとした動悸で病院を訪れても、勝手にMRIまで撮ってくれるらしい。

戦後27年して僕は生まれた。小学生の頃、社会の授業で広島の事を聞く。家には親父が買ってきた、”はだしのゲン”。 拳銃は、戦争で人を殺す道具だからという理由で、おもちゃも買って貰えなかった(ので、隠れて買って隠していた)。17歳になると、アメリカに行ってみたいと思いだした。母の影響もあったが、何か皆と違う事がしたかった。

横浜で高校を卒業した1991年の5月に渡米し、シカゴ、サンフランシスコ、LAと移り住み、今年で25年目になる。必要に応じてアメリカ国籍も12年前に取得した。もう、人生の半分以上はこっちにいるし、用事がなければ3、4年間も日本を訪れない時もある。


---原爆投下は必要だった---

オバマ大統領が、”謝罪はしない” という前置きをして向かった広島。1961年生まれの55歳。70年前、生まれてもいなかった現在の大統領が、今さら謝罪するというのであれば、それは国を代表してという事以外に無い。当時のトルーマン大統領が戦後すぐに広島訪問をして謝罪したい、と言ったのであれば、話は少し違うかも知れないが。いくら任期が終わる前とは言え、オバマ大統領がアメリカを代表して謝罪をする訳がない。そんな事をしたら、11月の大統領選挙を前に民主党は打撃を受けるかもしれない。

あくまでとある調査団体の調査 (Pew Research Center) だが、2005年に比べると幾分減ったとは言え、2015年の調査で、広島と長崎への原爆投下は必要だった(justified)としたアメリカ人は過半数を超えている。ここ10年で減少した理由は、当時を知る人が減ったからではないだろうか。

この団体に寄れば、1945年9月の調査では、自分が最終判断を下す役目だったとしても、日本への原爆投下は実行した、という人が94%となっている。

前述のYAHOO JAPANのアンケートの下にあった一つのコメントが目に留まった。
"アメリカ人なら あまり触れたくない部分に踏み込んだ勇気は とても感じた。被爆者の方が謝らなくても来てくれて良かったと言われたことにも日本人に生まれて良かったと感じた。" (Yahoo Japanのコメント欄リンク

よく、アメリカ人が自己中心的な考え方をする、という人がいるが、このコメントは自己中心的な物だと思う。”アメリカは原爆を使用した事に対して非を感じている”、と思いたい様に思っている。

オバマ大統領の広島訪問の記事に関して、アメリカ版のYAHOOのコメント欄の多くには、こうある。

”原爆を落とさなかったら、もっとアメリカ人は死んでいたかも知れない。あれは必要だった。”
”オバマは自分で何やっているか、分かってないんだよ。”
”原爆を落とされたのは、日本の自業自得だろ。”
アメリカ版YAHOO記事リンク

勿論、こう思っている人ばかりではないとは思うが、この意見にさほど疑問は無い。原爆を落とす国の国民が、皆原爆に反対していたら最初から落としていないだろうから。そして、学校では決して、当時のあの判断が誤った物だった、と自国を否定する様には習わない。

僕は、自分の目で戦争を見てはいない。聞いた話や、読んだ物は、全てただのメディアで、受け取る側に選択権がある。その時代にいなかった僕に出来る事は、それらの色々な角度からの情報を自分なりに解釈する事だけだ。



--- 元広島市長の言葉---

一昨日、次期大統領、共和党候補のドナルド・トランプが、カリフォルニアのサンディエゴで演説をした際、

”オバマ大統領が広島を訪問している。まぁいい。謝りさえしなければいい。誰も気にしない。”

と述べた。裏を返せば、”謝罪しに行ったのならとんでも無い事だが、そうじゃないからどうでもいい” と言っている。(13分9秒から)





全く同感だ。

ただ、僕の場合は、

”謝罪しないなら、何しに行ったの?” だ。

広島に行き、人間が作りだした原爆や、戦争に対して一般的に否定する内容の演説をした。それに対して、多くの日本人が”感動した” ”謝罪は無かったが、来てくれただけで意義がある。そう思える日本人を誇りに思う。” と述べる。

おいおい...

元広島市長、平岡敬氏の意見がネットにあがっていた。以下、Yahoo Japanニュース(毎日新聞)より引用。

 ”オバマ大統領は再び「核兵器のない世界」に言及したが、手放しで喜んではいけない。米国が「原爆投下は正しかった」という姿勢を崩していないからだ。原爆投下を正当化する限り、「核兵器をまた使ってもいい」となりかねない。私たちは広島の原爆慰霊碑の前で「過ちは繰り返しませぬ」と誓ってきた。原爆を使った過ちを認めないのなら、何をしに広島に来たのかと言いたい。

 日米両政府が言う「未来志向」は、過去に目をつぶるという意味に感じる。これを認めてしまうと、広島が米国を許したことになってしまう。広島は日本政府の方針とは違い、「原爆投下の責任を問う」という立場を堅持してきた。今、世界の潮流は「核兵器は非人道的で残虐な大量破壊兵器」という認識だ。それはヒロシマ・ナガサキの経験から来ている。覆すようなことはしてはいけない。

 「謝罪を求めない」というのも、無残に殺された死者に失礼だ。本当に悔しくつらい思いで死んでいった者を冒とくする言葉を使うべきではない。広島市長と広島県知事も謝罪不要と表明したのは、残念でならない。米国に「二度と使わない」と誓わせ、核兵器廃絶が実現して初めて、死者は安らかに眠れる。

 オバマ大統領は2009年にプラハで演説した後、核関連予算を増額した。核兵器の近代化、つまり新しい兵器の開発に予算をつぎ込んでいる。CTBT(核実験全面禁止条約)の批准もせず、言葉だけに終わった印象がある。だからこそ、今回の発言の後、どのような行動をするか見極めないといけない。
 広島は大統領の花道を飾る「貸座敷」ではない。核兵器廃絶を誓う場所だ。大統領のレガシー(遺産)作りや中国を意識した日米同盟強化を誇示するパフォーマンスの場に利用されたらかなわない。” 引用:Yahoo Japan ニュース、毎日新聞、5月27日

その通りだと思う。なぜなら、仮にオバマ大統領が個人的に謝罪の気持ちがあったとしても、大統領として、国としてそれを認める訳にはいかない。仮に認めたとして、政治的に何の得も無い。もし”悪かった” と聞いたら、日本人はその気持ちの部分を大きく受け取る。そして、それを上手に利用して外交的優位に立つという様な事を日本が試みれば、日本国民は、オバマ大統領やアメリカ国民の気持ちを踏みにじった、と自国を非難しかねない。そういう気持ちの部分に重きを置く国民性だ。アメリカ人は謝罪するという事に対して、外交的で政治的な損得をまず考える。得する事は無いので、謝罪はしない。

でもさ、上げ足を取る様で悪いけど、

核兵器はなぜ悪いとオバマ大統領は言うのか?
なぜ悪いと分かったのか?
維持や開発に金が掛かり過ぎるから?
相手よりも先に自分が核を減らすと危険で、簡単にやめられないから?

違うでしょ・・・

核兵器を使用すると、一瞬で民間人を大量虐殺してしまう事が、
自分の国がやってみて分かったから

でしょ。

悪いと分かったという事は、使用した事が誤りだった、という事ではないのか?
ならば、本来はそう口にするべきだと思う。

それを言葉に出さずに、”未来志向” だけを語る辺りは、アメリカらしい。そして、来てくれただけでも良い、と思え、言葉にされない思いを自分なりに汲み取る事を美徳とする日本の文化は、美しいと思う。ただそれは、同一民族だからなし得る業でもある。世界を相手にする時は、その美しさも島国の中で自賛しているだけで終わってしまいそうで、”お人よしさ” として逆に外国に利用されてしまわないかと、不安にもなる。


---離れた所から見る---

絵を描いている時やデザインをしている時、1時間ごとに机を離れる。そして、また戻って来ると、直したい所が沢山見えてくる。何時間も机にしがみついて没頭している時に、それは見えない。

僕は、日本が好きだ。だから外にいる。好きな物は、周囲と比較して大きな目で見れる様、一歩引いて外から見た方が良い。

僕は、アメリカが好きだ。特にシカゴに住んでいた時や、アメリカの設計会社で働いていた時等、自分の性格のせいでもあるが、白人社会の中で色々難しい事が多かった。だから中にいる。難しい物は、自分がどこまで対処できるか試す為に、近くにいた方が良い。

どちらの国にも美しい文化があり、素晴らしい人達が大勢いる。

僕がここで言いたい事は、どちらが良いとか悪いという事ではない。

今回のオバマ大統領の広島訪問は、誤りを認知するという目的でないのであれば、冷静に見て僕はそこから謝罪の気持ちは汲み取らない。”被爆者の方とハグしているのを見て感動した” というコメントをいくつか目にしたが、あのご老人は、原爆で亡くなられたアメリカ人の為にご尽力された方で、オバマ大統領がハグするのも分かる。日本人は自分達が求めている様に気持ちの部分を汲み取って、満足している人も多い様に見受けられるが、アメリカ側はそれを意図的に明言していないし、”言わなくても分かるでしょ” という日本的な考え方を当てはめるのは難しい。

なので、

”何しに広島へ?”

という事だ。



でも、これを書いていて思ったよ...

感情的な話になってしまうけど、日本の多くの人が、それで満足なのであれば、それで良いのかも知れない。日本とはそういう国で、本来日本人には、損得など関係無しで人を思いやる心がある。

その優しさが、もっと世界中に伝われば良いのに...   

それが、先の尖った鉄の弾や、10万人もの命を焼き尽くす光と熱の塊よりも強くなり得るのに...  

誰かを踏みつける強さではなく、目には見えない布でそっと包み込んで守ってあげれる様な強さ。

理想論だけど、それだけで日本が世界の中で生きて行ければ良いのに...





なんかさ、このブログの為に色々読んだり書いたりしてたら、涙出て来た。

理由は分からない... 年取ったかな...

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作者:Hiroki Uchida Design Lab

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